登場人物紹介
クリスティアン・メイエル
ディエゴ・デ・ラ・ベガとゾロ役。
正義と愛の闘いの真つ只中で二つの魂を持つ。
ディエゴ・デ・ラ・ベガは、アレハンドロ・デ・ラ・ベガと、トイプルニアという名のバハ・カリフォルニア地方のインディオ女性闘士の息子である。父のアレハンドロは、エリート将校だが、今やスペイン王室により保護と敬愛をうける裕福な大地主である。王の命によりスペイン本国へ招かれ、アレハンドロは数年間ロサンゼルスの町を離れざるを得なかった。愛する女性が男児を産み、ティシャまたの名を「リトル・ゾロ」と名付けたとは知らずに…
4歳にも満たない幼いティシャは、当時山師だったドン・フェルナンド・サンチェス・デ・モンカダ―大の野心家かつ非情な青年、妙なことにアレハンドロ・デ・ラ・ベガの妹マリア・ピアと結婚する寸前であった―が率いる部族襲撃の最中、母の殺害に立ち会ってしまう。マリア・ピアがトイプルニアの遺体を確認する。そしてスペイン人の顔立ちをしたティシャが故人の息子と知ると、自分の甥が目の前にいることを悟り子供を庇護する。
マリア・ピアは、兄アレハンドロに息子がいることを知らせるよう手を打つ。アレハンドロはインディオの女性闘士を愛していたので、子供を受入れその存在を喜んだ。その数年後、すでに洗礼を受けディエゴ・デ・ラ・ベガとし認知されていた息子をスペインへ呼び寄せる。
サン・ガブリエル宣教団で若き修道士トーマスの指導の下、ディエゴは最初の啓発を受け、リベラル思想、そして慈悲、正義、尊敬、隣人愛というキリスト教信条にのっとり成長する。一方、修道士直々の手ほどきで、密かに戦闘術を身につける。このトーマス、実は興味深いが論争の種となる過去をもつ。だがこうして、実際にディエゴの二つの顔が形成され始めた。
それは誰とも意気投合し名門の家柄や時代に応じた暮らしを送る社交界の名士という顔、そして秘密組織に入会が認められるよう人知れず訓練を重ねる秘密闘士という別の顔。アレハンドロは、すでに少年に成長したディエゴを陸軍士官学校に入学させるためスペインへ派遣する。ディエゴは父の望みを実現させる。既に身につけていた予備知識により士官訓練は驚くほどすばらしい結果となるが、ディエゴはヒューマニストとしてのはっきりした傾向を打ち出し、並行して文民となる。
トーマス修道士の訪問を受け、ディエゴは共同体のために尽くしたいという意思を表明をする。遂に、トーマスの全ての教えが何のためだったか、また無慈悲な若いカピタン・リカルド・モンテロが恐怖・暴力体制を敷き、町が事実上のっとられている今このとき、それがいかに役に立つか、ディエゴに教えるときが来たのだ。ディエゴは修道会「ブラザーズ」に宣誓し、秘密の人格を授けられる。
彼は、自分の身元に忠実であるよう母が名付けてくれた「ゾロ」の名を名乗る。この誓いの瞬間から、彼の秘密を暴こうとする人は誰でもごまかし、偽り、上手くかわさなければならならなくなる。さもないと、彼が愛し、また彼を愛する人たち、秘密組織の仲間、家族の皆が危険にさらされ、彼の存在理由であるこの使命自体が台無しになってしまう恐れがある。
だから、ディエゴ・デ・ラ・ベガが「ゾロ」であることは父親すら知らず、幼なじみの親友ベルナルドとトーマス神父だけがその秘密を握る。こうして社交界では、ディエゴは教養があり洗練された裕福な青年として紹介される。また時には財産でしか払うことができない人々の弁護士も務めるため、野心家で浅はかだとみなされる。
但し、相手を見た上で、こういう方策をとるのであり、これは当局、特にコマンダンテ・モンテロや現知事によって没収される可能性のある財産を守るための処置だということは、周知の通りだ。ディエゴはとてもハンサムでユーモアのセンスも抜群、だが彼のように二重生活をもつ男性にとって目下恋人関係や結婚は禁物、だから逆に女性を口説くのは簡単だ。
女たらしの評判は彼のイメージを軽薄にし、時には任務遂行のためゾロに役立つ情報を収集する助けにもなる。しかしその心の奥、愉快な人いう外見とは裏腹に、ディエゴは女性の愛、恋愛生活、家庭を築く可能性がもてないことに寂しさ感じ、その可能性を奪った彼の分身「ゾロ」を恨めしく思う。